不動産会社やハウスメーカーの営業マンの中にはフラット35を最後の砦のように考えている人が少なからずいます。
「フラット35で通らなかったら今はどこも借りられないよね〜」
と思っている営業マンも少なくありません。
どういうことかと言うと
- 「銀行で住宅ローンの審査に通らなかった人に勧める商品」
- 「銀行の住宅ローンでは条件に当てはまらない人に勧める商品」
営業マンの中でこんな風に位置付けているからです。
つまりあまり積極的にお勧めする住宅ローンではないという認識です。
今日はそんなことは決してありませんよという話をしたいと思います。
実は僕も「最後の砦」と思われるのも理解できる部分もあります。
銀行では厳しく見られたり、そもそも申込すらできない自営業の方や非正規社員、転職したばかりで勤続年数が短い人などが借りられる最有力候補がフラット35になるからです。
フラット35は「審査が緩い」とか融資的に信用度の低い人に積極的に貸しているという訳ではありません。
フラット35の主体である住宅金融支援機構が毎年発行している「フラット35 利用者調査」の2019年版によれば世帯年数で400万円〜600万円未満の世帯を中心に年収800万円未満の利用者が全体の8割超を占めています。
フラット35の利用者の年齢の集計を見ると30歳代、40歳代が中心ということを考えると決して400万円〜600万円未満という年収が低いというわけではないと思います。
(注 世帯年収で集計されていますが、フラット35に審査申込した人の集計であり、夫婦ともに働いていても収入合算していなければひとりの収入しか集計されていないことを考えると正確な世帯年収ではないと思われます)
フラット35利用者の世帯年収
フラット35利用者の年齢
画像が見ずらいと思います。
出展はこちらになります。
こういった利用実態にも関わらず「最後の砦」と言われる理由は、大きく次の二つかなと思っています。
申込基準が割とシンプルと書きながら、もちろん詳細な審査基準は外部の人間には分からない部分です。
でも銀行の住宅ローンにありがちな申込できる人の要件として
などという条件はフラット35にはありません。
フラット35に申込できる人の要件は
- 申込時の年齢が70歳未満
- 日本国籍の方、もしくは永住許可、特別永住許可を受けている方
- 所定の返済比率に収まる方
ということで正社員である必要もなければ勤続年数が短くても申込できます。
転職して数か月という方も利用されています。
ただ唯一申込できない人は「個人事業主になって一度も確定申告のタイミングを迎えていない方」です。
言い換えれば独立して最初の確定申告ができるまでの間は申込できませんということです。
正確な収入が把握できないからですね。
そして銀行だと個人事業主、会社経営者となると決算書の中も精査されたりしますが、僕がフラット35の取次をする時に
会社経営者でも決算書まで求められることは、ほとんどありません。
個人事業主の場合は確定申告書が必要になりますが、こちらも内容について細かく精査されて質問を受けるというのは少ない印象です。
もうひとつの理由の「審査金利が低い」についてですが、住宅ローンの審査では申込人の返済能力を諮る指標のひとつとして「返済比率」を計算します。
簡単にいうと「年収に対する返済額の割合」です。
詳しくは以前に書いたコラムを参考にしてください。
フラット35の審査金利は申込した月の金利を利用しています。
2021年1月の場合は1.29%です。
都市銀行だと3%とか3.5%という水準の金利を適用させていることを考えるとかなり低いです。
(さらに低い金利を適用できる地銀・信金もありますが・・・)
審査金利が低いことで返済比率に余裕が持たせられるので、これは申込する側にとっては有利に働きます。
そして前述したように決算書はあまり見ずに告している個人の所得にもとづいて審査をしますので、経営者でも経営する会社が赤字決算だからダメとか収入が不安定そうな個人事業主はダメとか言われることはありません。
ただ所得を低く確定申告していると申告されている所得に基づいての審査ですので、借入希望額に達しないということもあり得ます。
きちんと申告している人にとっては公平な目で審査してくれているとも言えます。
実は決算書や確定申告書の内容を精査されることでもしプラス要因があれば加味してくれるのは銀行の審査だったりします。
フラット35は「申告した所得は少ないけど、実際はこれだけ儲かっているんだ!」という主張は全く関係ありません。
所得証明書に出てくる個人の所得がベースになります。
結果的に銀行では相手にされにくい人でもフラット35なら審査に通ることがあり「最後の砦」のような捉え方に繋がるのだと思います。
フラット35は審査が緩いローンのようにも見えますが、当然、しっかりと審査をしています。
ただその審査が申込人のお仕事などにあまり影響されない形でされていることが緩いローンに見えている一因かと思います。
フラット35も1%を下回る金利で借りられる
そんな見られ方をされる面もあるのでフラット35は条件の良くないローンと考えている人もいます。
変動金利とフラット35の金利を比較しても全く商品が違うので仕方ないと思うのですが、変動金利より高い金利だから「銀行で借りられなかったら、仕方ないからフラットで借りる」という認識の方がいます。
フラット35も商品性を良く理解すると実は金利も下がられる商品があります。それがフラット35保証型です。
条件が整えば最安で2021年1月だと0.81%で借りることも可能です。しかも変動金利ではなく、5年固定や10年固定金利で11年目からの金利も最初に確定されるので
今後、どんなに環境が変化しても影響を受けずに済みます。
そんなお得なフラット35は次のコラムで触れたいと思います。